『99%はバイアス』は、ひろゆき氏(西村博之氏)による著書で、2022年にダイヤモンド社から出版されました。
本書は、私たちが日常生活で無意識に陥りがちな「バイアス(思い込み)」に焦点を当て、その影響から解放される方法や、逆にそれらを上手に活用する術を提案しています。
ひろゆき氏は、2ちゃんねるの創設者として知られ、近年ではYouTubeや各種メディアでの発言が注目されています。
彼の鋭い洞察力と独特の視点は、多くの人々に影響を与えており、本書でもその特徴が存分に発揮されています。
『この99パーセントはバイアス』を読んで感じたこと
私たちは日常生活で「自分は客観的に考えられる」と信じがちです。
しかし、『99パーセントはバイアス』を読むことで、その確信が揺らぎました。
むしろ、人間の意思決定や行動のほとんどが、無意識のうちに偏った視点や思い込み、つまり「バイアス」に支配されているという現実を突きつけられたように感じます。
この本は、自分の思考を客観的に捉えることの難しさを教えてくれる一冊でした。
著者は、バイアスがどのように私たちの行動や判断に影響を与えているのか、数多くの実例や心理学的研究を交えながら解説しています。
その中で特に印象に残ったのは、「バイアスは悪いものではない」という考え方です。バイアスと聞くとネガティブなイメージを抱きがちですが、本書はそれが私たちの生存や適応に欠かせない役割を果たしていることを教えてくれます。
たとえば、過去の経験を基に「直感的」に危険を察知する能力は、進化の過程で私たちの祖先を守ってきた重要な力です。
しかし、それが過剰になると、差別や偏見、誤解といった問題を引き起こすリスクもある。この二面性を理解することが、バイアスと付き合う第一歩であると感じました。
また、個人的に驚いたのは、情報を取捨選択する過程でもバイアスが大きく影響しているという点です。
本書で紹介されていた「確証バイアス」は、まさに自分自身にも当てはまると感じました。
確証バイアスとは、自分の信じたいことを支持する情報ばかりを集め、反対の情報を無意識に排除してしまう心理現象を指します。
たとえば、日常的にニュースを読む際、自分の価値観に合致するメディアばかりを選び、異なる意見に触れる機会を自ら減らしてしまっていることに気づきました。
このようなバイアスに気づかないままでいると、自分の考えがどんどん狭くなり、視野が閉じてしまう危険があると痛感しました。
さらに、バイアスをテーマにした本書の中で特に心に響いたのは、「他者のバイアスを指摘する前に、自分自身のバイアスに気づくことの重要性」というメッセージです。
社会の中で他者と意見が衝突する場面は避けられませんが、その際に「相手が間違っている」と断定するのではなく、自分の考えが偏っていないか冷静に見つめ直すことが必要です。
本書を読むことで、「絶対に正しい」という主張がいかに危ういものかを理解し、相手の視点を尊重する姿勢の大切さを改めて学びました。
また、ビジネスや日常生活における意思決定の場面でもバイアスが影響することを、本書は強調しています。
リーダーシップにおいてもバイアスが影響することを指摘し、組織の中でいかに「バイアスに囚われない」判断をするべきかという観点が提示されていました。
特に「集団思考」という章は、自分の会社での経験と重なる部分が多く、非常に考えさせられました。
集団での意思決定では、多数派の意見に流されやすいというバイアスが働くため、多様な意見を取り入れる仕組みが欠かせません。
たとえ少数意見であっても、それが全体にとって重要な視点を提供している可能性を見逃してはならないと感じました。
この本を通じて感じたのは、「気づかないバイアスほど厄介である」ということです。
しかし、バイアスを完全に排除することは不可能でも、その存在を自覚し、自分の思考を意識的に見直すことで、より柔軟で広い視野を持つことができるのではないでしょうか。
最後に、本書はバイアスという複雑なテーマを扱いながらも、分かりやすく、実生活に役立つヒントが豊富に含まれていました。
読後、自分の生活や仕事の中で、どうすればバイアスをコントロールできるのか、具体的な改善策を考えるきっかけとなりました。
この本は、自分自身をより深く理解し、他者との関係を見直すための重要な一歩を提供してくれる一冊だと感じます。
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